<修験>
08年御山登り
9日夜9時「てじまや」に着く。
翌朝8時過ぎ、社務所で合流、車列を重ねて老者4人組-禅寺の和尚さん、ぎっくり腰治しやさん、ビンボー
本屋さん2人-ロープウェイへ。
本日、快晴。微風也。去年のぎらつく太陽は去り、清々しい陽光が降り注ぐ。賢者曰く「太陽は7つ有り。愛の次は意志、サンカルパ也」と。本日は、どの太陽かな? 太陽が自由に選べたらうんといいべえ。
足が軽い。前へ前へと引っ張られ、スピードがいや増す。どんどん登れる。何のことはない、大先生がよいしょと、引っ張ってくれている。
「大先生、もっと引っ張ってよ」と、岩場で悪乗りする。
女人堂で連れ合いがダウン。
後続を待って一息入れる。旅館の梅干しおにぎりをほおばる。
そのとき、ボラボーラさん、羽黒の行者服を纏って出現。昨夜登ったとのこと。夜の蝮は寝ているかいな。
連れ合いを後続の先達に託して出発。
千本檜小屋に昼前にたどり着く。流汗淋漓、微風が舌で舐めていく。しばし微睡む。
地蔵岳でお護摩。安物の運動靴が気になり、転落しないよう前の方に陣取る小心者。
この運動靴め、おまえのせいだ。登りも下りも小石で滑って腕に擦り傷。
2009年の予兆か。静かなりけり、お護摩。
惑星も止まる、お護摩も止まる2012年まであと数年。人生も止まるんきゃあなも。
来年は装備して大日岳でムーラマントラを、と白日夢。
16時40分、老者3人ようやく下山。
社務所で風呂と食事を与り、大先生の祭壇をちょろっと拝す。
本日もずっと霊風が吹いている。
「死んでからも皆にコキ使われるんじゃ、おらぁ、やっとれんぜ、アストラル界でのんびりお休みしているっちゅうに」そんなボヤキが聞こえる。
「火渡りには60度の泡盛をプラサードしなきぁ。一気に呑みまくって地上に降りてきなされ。天国の甘露は薄くて水っぽくて肌に合わんじゃろうが」。
快適プジョーで、一路東京へ。ハイオクはリッター8キロ也。我慢、忍耐。
喉仏に火渡りの炎がチラチラ見えてくる。果てなく夢路はいつまでも続く。
08年寒行
“うとうと”から目を覚ますと、湯沢だった。
風呂敷を広げたような雪景色が車窓をまだんなく横切り、やがて真白の八海山が指間に入ってきた。
行者食をいただき、2時頃、雪の中を歩行(かち)にて不動滝に着く。
不動滝の水は冷厳にして、硬く、身震いガクガクと止まず、2回で水行を打ち切る。
護摩の炎はナーガの如く昇り、暗雲たれ込める2008年を予兆せり。
深夜12時、××先達のもと夜の水行に出発する。法螺貝の音が夜の雪を乱舞させ、山肌に吸い込むように響く。

××先達から水玉を1個渡され、滝の水を汲んでくるように仰せつかわる。
水玉を滝水の真ん中に差し出すや否や、滝水がどっと一気に水玉を撃ち、落下して粉々に割れ散る。懐中電灯の鈍い明かりのもと、水玉の破片拾いに小一時間かかる。長靴に滝水が入り、袖がびっしょりと濡れる。
濡れた長靴を引きずって、明朝の水行か。と心が塞ぐ。
意識の何処かにディクシャギバーとしての“自己中”が存在する-インドの化身の方がエネルギーが高いのだと。滝水は水玉を撃ち、従って、不動明王は、「私」を速射砲の如く撃ちまくる。これでもか、これでもかと。水玉の破片を執拗に細かく砕いてゆく。吾は、木っ端微塵に粉砕さる。
何度耳朶(じだ)にしたことか。「私」がある限り、分離があり、そこには合一はない。「私」が存在するということは、イルュージョン(錯覚)であると。
「私」は撃墜されて、浅き眠りに就く。お前は何をやってきたのか。禅問答が幾重にも重なって白日夢が疾駆する。
◎修験道の裏面史
修験道の起源は遠く古代、アラハバキ(古代の錬金術師)が、黒潮に乗ってインド亜大陸、ペルシャから日本列島に上陸したときに始まる。
彼らは、国家権力に黄金(当時の貴金属である鉄や朱)を簒奪され、生活苦に喘ぐ多くの在野の錬金術師たちと合流して、黄金の埋蔵地を封印し、秘密裡に卑金属を貴金属に変える技術(錬金術)を行った。修験道という山岳宗教がその隠れ蓑であった。
羽黒修験道の開祖といわれている聖徳太子の従兄弟、蜂子皇子の異形な風貌は、遠くペルシャの血を彷彿させる。
法螺貝を吹笛し、特異な法衣を纏って隊列を組むことによって人々に畏敬の念を起こさせて、山に近づかないようにさせた。なぜなら、山には黄金が隠されているからである。古今の著名な神社仏閣は、中央構造線の上に乗っかっており、そこでは黄金が採れる。高野山金剛峰寺-銅山 出雲大社-砂鉄しかり。
時代の変遷と共に、修験道は行として歩み始める。
ひとつは、国家安寧のための上流社会の祈祷システムとして、ひとつは、食い詰めた農家の次男坊、三男坊の食い扶持として、飢饉や災害にあった人々の冥助として、つまり、厳行を修することによって、人々の大願成就に応えんとした。
現在もこの古代からのふたつの流れは、現存している。仰々しい法衣と菜っ葉服一枚。
註:錬金術とは、いわゆる精神変容の術ではない。
文字通り、卑金属を黄金に変容させる術である。
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